Adobe Flash(アドビ フラッシュ)は、アドビシステムズ(Adobe Systems) が開発している動画やゲームなどを扱うための規格及びそれを制作する同社のソフトウェア群の名称。元の開発会社はMacromediaで旧称はMacromedia Flash。10.111.1までは携帯端末にも対応しているが、それ以前の携帯端末向けはAdobe Flash Liteで、11.2以降は携帯端末はAdobe AIRのみになる予定。競合としては、Microsoft Silverlightがある。類似技術として、W3CやWHATWGにより標準化の過程にあるHTML5が台頭しつつある。
日本での本格的な流通はFlash 2の頃からであるが、実際にはFutureSplashの直輸入版も一部店舗では取り扱われていた。
ウェブサイトの一般ユーザーに広くFlashが認知されるようになったのはFlash 4の時期とされる。数々の企業サイトで採用されるに至っていたが、特にフォークデュオのゆずの公式サイトは、そのほとんどをFlashで構築した上、「ゆず一家の家の中」を探索するアドベンチャーゲーム風の演出をそれに取り入れていた。他方で個人制作されたFlash作品もこの時期を境に増え始めており、個人制作Flashの「投稿型コミュニティ」や、自動リンクを用いて主催者が気に入った作品を登録する形式で紹介するウェブサイトが派生してきたのもこの時代である。
いわゆるMADムービーの制作ツールとしてFlashが多用されていた時期があり、『サザエさん』や『ドラえもん』、コミックソング等を素材に使用した作品が数多く公開された。一方で個人制作ながら表現において高レベルの水準に到達した『つきのはしずく』(森野あるじ)や、脚本に注力されFlashに興味の無い一般層も抵抗無く作品世界へ引き入れた感動系の始祖『キミとボク』(やまがらしげと)など、黎明期を代表する作品が発表されている。
また2ちゃんねるの利用者増加にしたがって、同掲示板内での内輪受けを狙ったFlash作品からも大きな流行が起こり、2002年始めに設立されたFLASH・動画板はその中核となった。作品にアスキーアートを多用している(比較的キャラが決まっているので、一から設定する必要がない、画力の差がそれほどでない、などの利点がある)。掲示板内の有志で様々なテーマに沿った「発表会」も主催されるなど、制作者同士の情報交換が頻繁に行なわれた。他にも作品に「泣ける系」「PV系」などの独特なジャンル分けを行なったり、Flash制作者を「Flash職人」と呼称するなど、独自の文化を形成している。
2005年春には商用音楽を無断転載して公開していた Flash を逆に企業が注目し、プロモーションとして大々的に抜擢する異例の「大出世」があった。(「恋のマイアヒ」参照)。また、2006年には同じく商用音楽を無断使用していたFlash「WALKING TOUR」が絵本化され、その際に同梱されたCDに収録のFlashに、当初は無断使用されていたプラネテスの「PLANETES」と同じ黒石ひとみによって新規に書き下ろされた曲が使われた。
Flashのバージョンアップに従って、Flashに搭載されているスクリプト言語であるActionScriptが高度化されたことに伴い、ウェブブラウザ上なら軽快に動作し、比較的容易な開発環境にあるFlashを使用した数多くの大規模なネット・ゲームやコミュニケーション・サイト、動画配信や地図ナビゲーション、Flash Liteを使用した携帯アプリなど、スクリプトベースで「作品」が制作されることが増加傾向にある。
2006年春、『菅井君と家族石』で注目されていたFROGMAN(蛙男商会)が、また、全編Flashで制作されたテレビアニメーションシリーズ『THE FROGMAN SHOW』が制作され、テレビ朝日・朝日放送にて放映。映画化やゲーム化なども行なわれた。加えて、うすた京介の漫画『ピューと吹く!ジャガー』が、蛙男商会の手によりFlashでOVA化されている。
Flash Playerは本格的なプログラミング言語であるActionScriptの処理系を含んでいる。そのためFlashデザイナーやFlexプログラマーは任意の機能を実現できるが、信頼性の保証がないサーバから読み込まれたプログラムが動作することについて、セキュリティ上の懸念が存在する。
Flash Playerにはサンドボックスモデルに基づいたセキュリティ機構が実装されている。ローカルストレージや周辺機器へのアクセス、ダウンロード元と異なるドメインのサーバとの通信は制限されており、例えば自由に読み書きできるローカルストレージはWebブラウザのCookieに相当するSharedObjectに限られ、ファイルの読み書きにはユーザの選択による許可を必要とする。
このため通常はFlashによってシステムが破壊されたり、ローカルファイルに保存した情報が盗まれることはないが、Flash PlayerやPDFに埋め込まれたFlashを再生できるAdobe Readerにはシステムのクラッシュや悪意のあるプログラムの実行を許す脆弱性が過去にいくつか発見されている。多くのユーザはWebブラウザに組み込まれたFlash Playerを有効にした状態でWebを利用しているので、それらの脆弱性を突くJSRedir-RやTROJ PIDIEF.INのようなウィルスは修正アップデートが公開されるまでの間に急速に感染を拡大した。
Flash10以降では、インストール時に手動でチェックボックスを外さない限り、McAfee Security Scanが自動的にインストールされるようになった。
アップルは、Safariがクラッシュする原因の大半はFlash Playerによるものだとし(Mac版Flash PlayerはWindows版に比べ安定性が低い[要出典])、動作が重くセキュリティ問題を抱えるFlashは携帯機器には不向きであるとして、iOS上では動作しないようにしている。同社はまた、Flashの代替として、プラグインを必要としないHTML5を強く推奨している。
しかし、HTML5はまだ仕様が確定していない発展途上の段階であり(2014年までに正式の仕様が勧告される予定)、現時点では実装状況はブラウザによって異なる。そのため、Flashを完全に置き換える要素にはなっていない。
Googleは、HTML5を強く推進し、また独自の動画規格WebMを開発している一方、AndroidをFlashに対応させたり、Google ChromeにFlash Playerを内蔵させている。
また、Adobe自身もFlashからの変換ツールを開発する等、HTML5を推進する立場をとっている。
Google ChromeはFlash Playerを搭載された状態でインストールされ、アップデートも自動で行われるが、言語バーが消える、Flash上の新しい情報が読み込まれない等といった不具合が発生する。この症状は、Mozilla Firefoxでも見られる。他のブラウザはFlash Playerをインストールする必要がある。
Windows用では、「Internet Explorer」版と「その他のブラウザ」版に分かれていてInternet Explorerとその他のブラウザ両方で利用したい場合、それぞれインストールする必要がある。「その他のブラウザ」版を一回インストールすると、FirefoxとSafariとOperaの全てで利用可能になる。 Flash Player 11.0 から64ビット版もリリースされており、64ビットネイティブ版ブラウザでも利用することができるようになった。
アンインストールについては、Adobeから「Flash Player Uninstaller」がリリースされており、それを利用するとすべてのブラウザのFlash Playerが削除される。